【ドッグラン&カフェ1wan】

情報発信と人つなぎでロケットスタートを支援

2021年5月、輪之内町に犬を愛する母娘がオープンした「ドッグラン&カフェ1wan」。県外からも多くの愛犬家が訪れるなど人気を集めている。“wanちゃんと一緒”という思いからスタートした起業は、Gaki-Bizとの出会いによって、当初は予想もしていなかった広がりを見せている。

■創業前から二人三脚で支援

夕方になっても暑さの残るお盆休みのある日。揖斐川の堤防沿いにある、開放感あふれる約330平米の天然芝生のドッグランには、大小さまざまなプールやタープが設置され、たくさんのワンちゃんたちが元気いっぱい駆け回っていた。

遊び疲れたら、併設のカフェでひとやすみ。ワンちゃん用のパンケーキやおやつも用意されているので、愛犬と一緒に食事を楽しむことができる。他にも、温水が出る洗い場や犬を連れて入ることができるリードフックが設置されたトイレなど、飼い主とワンちゃんへの配慮が随所に見られる。「ドッグラン&カフェ1wan」は、愛犬家である高橋唯実那さんの「ほしい」が詰まった場所だ。

「ここを作る前は、岐阜県にはドッグランがなかったので、わざわざ愛知県まで遊びに行っていました。でも、うちの実家は中型犬を多頭飼いしているので、少し移動するだけでもちょっとした旅行みたいになって本当に大変だったんですね。『ワンちゃんと遊べる場所がほしい。なければ作ろう』と、母を誘ってドッグランを一緒に始めることにしました」

会社員だった高橋さんは、開業・経営の経験やノウハウを持っていなかった。それでも手探りで準備を進め、お店の工事が始まった頃、金融機関の担当者からGaki-Bizを紹介された。

「銀行の方が予約を入れてくださったので、何ができるところか分からずにとりあえず行ってみました。正田センター長から『こういう支援をしています』『無料で相談できます』という話を聞いて、定期的に通うようになりました。特に悩みがない時も、近況報告をするだけで、正田さんが『それなら、こういうことをやってみてはどうですか』『こういう方法もありますよ』とアイデアをくださるので、経営の経験が浅い私にとっては心強かったです」

個別相談以外にも、Gaki-bizが主催するセミナーに積極的に参加し、創業前から二人三脚で準備を進めていった。

「まず大きかったのは、開店に際して自店の特徴を固めることができ、プレスリリースの配信をサポートしていただいたことです。そもそもプレスリリースというものがあるということも全然知らなくて。新聞社や雑誌に掲載されている記事は、記者が自ら情報を探して、向こうのほうから取材にやってきて作られていると思っていました。こちらから情報発信をしなければ取材に来てもらえないということを、正田さんから聞いて初めて知りました」

Gaki-Bizのサポートを得て改めてお店の売りを明確にでき、プレスリリースを配信した結果、オープンの前後に複数の新聞で紹介されたこともあり、ドッグラン&カフェ1wanは幸先のよいスタートを切ることができた。

■Gaki-Bizをハブに、次々と「ほしい」を実現

カフェの店内には、「1wanヌードル」「抱っこ紐」「ひんやり石材」「犬用のお香」などドッグラン&カフェ1wanオリジナルグッズが販売されている。これらも全て、高橋さんの「ほしい」から開発されたものだ。

最初に開発したのは「1wanヌードル」。「ワンちゃんたちは食べられるものと食べられないものがあるので、うちでは人と犬の食事をそれぞれ分けて用意しているのですが、すごく手間がかかります。人間も犬も一緒に食べられるものがあれば、1回の調理で済むので、ママさんたちに喜ばれるのではないかと、正田さんに話をしたところ、Gaki-Bizの相談者である食品メーカーを紹介していただきました」

1wanヌードルはさまざまな味があるが、高橋さんのおすすめは岐阜県産の鮎を原材料に使ったあゆ味だ。「ワンちゃんは肉が好きというイメージがあると思いますが、意外に魚も好きなんですよ。だから麺に岐阜県産のアユの粉末入れてみました。茹でている時からすごく魚の香りがします。ワンちゃんたちもやみつきなのか、すごく食いつきがいいです」。

「抱っこ紐」は、美濃染元福田屋の名前やメッセージなどの大切な言葉を風呂敷にすることができるサービス「MOCHIAJI」とのコラボレーションで実現した。

「Gaki-Bizで、福田屋さんがワンちゃんを対象にした風呂敷を作れないかと考えていると伺いました。そこで思いついたのが抱っこ紐。市販されている抱っこ紐の多くは、チワワちゃんやトイプードルちゃんなどの小型犬用で、うちは中型犬なので対象外なんですね。ずっと中型犬用の抱っこ紐を欲しいと思っていたので提案してみたところ、『風呂敷なら、ワンちゃんのサイズに合わせて形が自在に変えられるし、生地も丈夫なので実現できそう』と話が進んでいきました」

他にも、「ペットひんやりマット」は株式会社エム・ジー関ヶ原と、お店のロゴの形をした、ペットにもやさしいお線香は横田仏壇店と、わずか2年の間に次々とコラボレーション商品を開発していった。高橋さんはこうしたユニークな商品をどのように考案しているのだろうか。

「瞬発力というか、『こういうものがあったらいいな』とパッと思いついて、パッとGaki-Bizの予約を取って、正田さんに自分が欲しいものを話しているだけなのですが、すごく上手に形にしてくださるので、楽しいです。もしかしたら先方は大変かもしれないですけどね(笑)。
ひんやりマットも、涼しい場所に置いておくだけで冷たくなるので、散歩から帰ってくると、ワンちゃんたちは気持ちよさそうに休憩しています。「ガハガハ」がすぐに止まるので、重宝しています」

高橋さん自身の「ほしい」から無理なく開発した商品は、高橋さん自身が一番の愛用者であり、愛犬家の心を捉えるのは必然のように思える。実際にペットひんやりマットのネットショップを覗いてみると、レビューには絶賛の口コミが並んでいる。お客様からは「見たことのない商品ばかりで、面白いねといっていただくことが多いです」

地元の企業と地元の名産を使った商品は、Gaki-BizのサポートでBASE制作したオンラインショップのほか、大阪や東京で開催された県産品の期間限定ショップでも販売されており、一気に販路が広がっている。

■SDGsシルバーパートナーを獲得。自分の活動が社会貢献につながっていることが自信に

ドッグラン&カフェ1wanは、この業界では珍しく「ぎふSDGs推進シルバーパートナー」を取得している。正田センター長からSDGsパートナー制度について聞き、応募したそうだ。

「SDGsを意識して取り組んできたわけではないのですが、正田さんからSDGsパートナー制度の話を聞いて、SDGsの項目を一つずつ読み解いていくと、意外とつながっていることが多くあることに気がつきました。女性活躍や緑を豊かにすることもそうですし、私たちが取り組んできたことが持続可能な社会を作ることにつながっていると実感することできました。
保護犬の譲渡会などの活動も、SDGsの項目に直接関連するものではありませんが、この場所を作った原点でもある“wanちゃんと一緒”という思いが、社会的意義のある活動につながっていけば、こんなに嬉しいことはありません」

ドッグラン&カフェ1wanホームページ