【77pilates】

趣味の延長から起業。Gaki-Bizの前向きな言葉が支えに

週末起業、自宅起業、0円起業、プチ起業……。

呼び方はさまざまだが、個人で小さなビジネスを始める人が増えているそうだ。実際に大垣商工会議所が主催する「創業塾」は毎回満員御礼だという。

プチ起業といえども、事業を営むことに変わりはない。準備すべきことは多くあり、責任も伴う。それを自分一人で背負わなければならない。プレッシャーに心が折れてしまう人もいることだろう。

「起業を考えている人がいたら、『Gaki-Bizに行けば進んでいくよ』と伝えたいです」 そう話すのは2024年3月に岐阜県神戸町にオープンした「77pilates(ナナピラティス)」のオーナー・五十嵐さん。彼女が起業を決意したのはオープンのわずか半年前、そこから猛スピードで夢を実現した。それが可能だったのはGaki-Bizの正田嗣文センター長の存在があったからだと五十嵐さんは笑顔で振り返る。

■出産後の不調を救ったピラティスを広めたい。Gaki-Bizとの出会いで創業を決断

東京の大学病院や名古屋のクリニックで看護師をしていた五十嵐さんがピラティスと出会ったのは、長女のななちゃんの出産後のこと。出産後の五十嵐さんは、授乳や抱っこで姿勢が崩れることが多かったためか、なんだか体調がパッとしない日々が続いていた。「育児休業中は、それまでの生活スタイルから大きく変わり、気分転換の必要性を感じていました。ちょうどその頃、「『運動』は『運を動かす』」『人生を変えるなら姿勢、呼吸、言葉を変えるといい』という話を知りました。呼吸と姿勢はピラティスで改善されるとよく聞くし、流行っていたので」、ピラティスに通ってみることにした。

ピラティスには「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類がある。マット上で行うピラティスは、重力に耐えながら自分で体をコントロールする必要があるため、ある程度筋力が必要だ。一方のマシンピラティスは、元々戦場で負傷した兵士のリハビリのために開発された専用のマシンを使ってエクササイズ行う。マシンが動きや姿勢保持のサポートをしてくれるため、運動経験のない人や筋力の弱い人でも効果が得やすい。それまでは運動をあまりしてこなかった五十嵐さんはマシンピラティスを選択。「体が伸びて気持ちいいー!」とすぐにピラティスの虜に。続けるうちに、体調は改善していった。

マットさえあればどこでも行えるマットピラティスとは違い、マシンピラティスは専用のマシンがある場所に通わなければいけない。しかもマシンが置いてあるスタジオは少ないため、五十嵐さんは少し遠方の、通うのに時間がかかる場所まで通っていた。「空き状況や通う時間帯のタイミングが合いにくいことが続き、家にほしいなと思いはじめました」。

自宅にあれば毎日ピラティスができる。けれど、マシンの値段は数十万円。気軽に購入できる価格ではない。「マシンピラティスはまだ認知度が低いだけで、需要はあるなと感じていました。なによりこのマシンピラティスの良さを、自分だけにとどめておくのはもったいない。もっと多くの人に知ってもらいたいと感じていました。だから、もしマシンを購入するのであれば、スタジオを開業しようと考えるようになりました」。

起業を考えはじめた頃、神戸町の広報誌でGaki-Bizの出張相談会があることを知った。「すぐに申し込んで行ってみたら、正田さんがものすごく前向きな言葉をかけてくれたんです。

私は看護師として働いた経験しかないので、本当に起業ができるのか不安がありました。でも正田さんの発する言葉は全てが前向き。初めて会った時も、『五十嵐さんは明るいキャラクターでいいですね』と私の良いところを見つけて褒めてくださるので、すっかり乗せられてしまって(笑)。チャレンジしてみようと踏み出すことができました」

開業の手続きなどのノウハウだけであれば、本やネットでも得ることができる。ただし、事業はケースバイケースで教科書通りに進むことは少ない。「集客できるのか」「黒字化できるのか」先の見えない不安が次々と頭をよぎり、起業を諦めた人も少なくないだろう。創業時に必要なのは、起業の方法論ではなく、不安や困ったときに相談し背中を押してくれる人がいることかもしれない。

■子ども連れ相談もOK。副業から無理のないスタートを切る

起業を決断してからは怒涛の半年間だった。「本当にあっという間というか、半年後の今、こうしてスタジオをオープンしているとは全く想像できていなかったです」。

五十嵐さんが最初に行ったのはGaki-Bizで紹介された「神戸町創業支援事業補助金」の申請の準備。それと並行して、ピラティスのインストラクター養成講座に通い、資格を取得した。加えて、Gaki-Bizでコンセプトの確立、創業計画、検討中の屋号の商標、SNSの活用方法など起業に必要な知識のレクチャーも受けた。

「子どもを連れて相談に行けたのは本当にありがたかった。まだ抱っこの時期だったので、タイミング的にもよかったですね」

数字の「77」をモチーフにしたロゴは、Gaki-Bizで岡田庸平デザインアドバイザーと相談しながら一緒に作り上げた。「岡田さんが目の前で、私の要望を聞きながらアイディアをくれました。最初は筆記体がいいかなと考えていたのですが、どこかしっくりこなくて。岡田さんが相談時間の1時間の間にいろいろなパターンを考えてくださって、終了間際ギリギリにこのロゴが出来上がりました。

ロゴの「77」の数字の部分が、娘のななをお腹に乗せて足を上げてピラティスしている自分の姿に見えて『これだ!』って。私は娘のおかげでピラティスに出会うことができたので、そうした背景も反映されていてとても気に入っていますし、いい記念になりました」

77pilates は2024年3月12日にオープン。最初は副業としてはじめたので、月に8日ほどの営業だったが、次のステップに進みたいと、思い切ってピラティスに専念することに。

「お客さまはInstagram広告をきっかけに連絡をくださった方が多いですね。InstagramもGaki-Bizで『今はInstagram広告も効果的だ』と伺って、Gaki-BizのInstagramセミナーで学んだことを活かしながら、試行錯誤でゼロから始めていきました。マシンピラティスを知らない人も多いですし、自宅スタジオなのでインストラクターである私のことを知っていただいた方が安心していただけるのではというアドバイスをいただき、動画で紹介するようにしています」

白とパステルピンクが基調の可愛らしいスタジオには、20代から60代まで幅広い年代の人が通う。ダイエット目的や姿勢を良くしたい、数年後に海外旅行に行くために体力を維持したい人など目的はさまざま。体験後は「すっきりした」「呼吸がしやすくなった」「楽しい」と話す人が多いそうだ。

「私もそうだったのですが、姿勢が良くなったり、体力がついたりすると、日常生活が本当に楽になるんです。だから、ピラティスを趣味にするというよりは、人生を楽しむためにピラティスをして体づくりをするというイメージ。私もさらに、日常生活が豊かになったらと思ってピラティスをしているので、そういう願いが伝わったらいいなと思っています」

■開業してからも、良き相談者として

インタビューの途中、五十嵐さんはふと我にかえり、「今話していることを『Gaki-Bizに行かず、全部自分でやっていたとしたら』と想像したらゾッとしました。多分辛くなっていたと思います」とつぶやいた。

「先日も『答えのない相談をしに来ました』とGaki-Bizに伺ったのですが、『半年くらいするとそういう悩みが出てきますよね』と正田さんに言われて。『なんだ、みんなそうなんだ』と心が軽くなりました。たくさんの会社を見てきた人じゃないと言えない言葉で、説得力がありますよね。

オープンすると目の前の業務が忙しくなって来なくなってしまう方もいるようで、「順調に進んでいる時でも相談に行こうと思えるのは素晴らしいこと」「よく相談予約をしてくれましたね」と肯定的なことを言ってくださって。「私、がんばってる!」と元気をもらって帰ってきました。

最初に相談に行った時は『私なんかが場違いじゃないかな』と緊張しましたが、もし行くかどうか迷っている人がいたら、『今すぐ予約した方がいいよ!』と伝えたいです。きっと一度行けば、また行きたくなると思います。いつ訪れても、気持ちを上げてもらえるので。

この77pilatesも同じように、来てくださった方を元気にできる場所になればと思っています」

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