【MojiBa®︎ アーティスト 浦上愛子さん】

「アートを仕事にしたいんですけど…」から始まった相談、
ガキビズと共に築いたMojiBa®︎の世界

遠くから見ると動物の絵に見えるが、近くに寄るとそれは小さな文字の集合体で描かれており、驚くこと間違いなしの絵画を手掛ける、Moji Base Art®︎(通称:MojiBa®︎)アーティストの浦上愛子さん。日本のみならず海外のアートフェアにも参加するアーティストだが、ガキビズを訪れた当初は「アート活動はしたい、けど何をどしたらいいかわからない」というゼロからのスタートでした。彼女はGaki-Bizのサポートにより、自分の強みに気づき、活動をする上での主軸を築き上げたのですが、どのような過程を経て今にたどりついたのか、詳しく伺ったのでご紹介します。

「アートを仕事にしたいんです!」のゼロベースから相談

MojiBa®︎の作品を持つ浦上愛子さん

アメリカのロサンゼルスの短大でアート専攻をしていた浦上さん。その時から動物を描くことが好きで、当時学校で制作した課題で、今のMojiBa®︎に繋がるような作品を制作していたのですが、アートを職業にすることはないまま時は流れていきました。

アメリカから帰ってきたのが2010年。友達から頼まれてMojiBa®︎のような絵を作成することはあったものの、それが職業として成り立つのかわからず、英会話の講師や通訳の仕事を主にされていました。転機となったのは、結婚・出産を経たこと。子どもたちの育児と両立できるような仕事はないかと考えた時、ふつふつと湧いてきたのが「やはり自分はアートを仕事にしたい」という思いだったのだと言います。

「手探りでハンドメイド通販アプリを使ったり、BASEでショップページを作ってみたんですが、いまいち反応がなくて…。どうしていいかわからなくなって、英語教室時代の同僚で今は岐阜県本巣市で「Step英語教室 」を営んでいる臼井さんに相談したんです。そしたら彼女がGaki-Bizを利用しているとのことで、おすすめだから行ってみたら?と紹介してくれて。最初は半信半疑だったけど行ってみることにしたんです(笑)」

話すことで気づいた自身のキーアート「MojiBa®︎」の可能性

アメリカの短大時代、課題で使っていたアルファベット単体を使って動物を描く原案ノート

Gaki-Bizに出向き、センター長・正田嗣文さんのサポートを受けることになった浦上さん。最初は、自分がこれまで学んできたアートのことをひたすらに聞いてもらったのだと言います。

アメリカの短大時代課題で仕上げた「CHOCO」ちゃんの文字アート。活動が始まった今でも大切にしている1枚

その中で正田さんが反応したのは、浦上さんがアメリカの短大でアルファベットの単体を使って動物を描いた話でした。「A」や「C」といった文字を使って動物を描くのですが、浦上さんは最初ヒツジなどを描いたそうですがしっくりこなかったそう。「もっと自分にしか描けないものを描きたい!」と思いついたのが日本で飼っていた自分の愛犬「CHOCO」ちゃんを描くことでした。「CHOCO」という字を細かく重ねて仕上げた一枚。提示された“アルファベット単体で描く”という課題趣旨からは少し逸脱してしまったものの許可してもらって描いたのだそう。

出来上がった作品をみた先生が「オーマイガッ!あなたこれビジネスに出来るわよ」と褒めてくれたのだと言います。

「この話をしたところ、正田さんから「それですね!」と言われて…(笑)。後にこれが現在のMojiBa®︎に繋がるのですが、私的にはこのアートって近くに寄らないと文字の集合体で描いてあることがわからないし、多くの人は「あ、ただ動物を描いているのね…」だけで終わってしまうような気がしてダメなんじゃないかって思っていたんです。でも正田さんは弱点と思うこともあなたのアートの個性であって強みですって言い切ってくれたんですよね」

正田さんは、「文字で描くという新しい手法であること」「日本語もアルファベットもできて汎用性があること」「遠くで見る楽しみと、近くで見る楽しみと2度楽しめるアートであること」に可能性を見出し、これを謳っていきましょうとアドバイスを送りました。

出された課題を一つずつクリアして、MojiBa®︎ アーティストの活動を開始

近くで見ると小さな文字を使って繊細に描かれているMojiBa®︎

“文字を使った技法”が自分の強みだと知った浦上さん。その後もGaki-Bizから「来月までにキャッチフレーズを考えましょう」「その次はホームページを作りましょう」と次々に課題を与えてもらい、クリアしていきました。

「自分一人では面倒くさがってできない性格なんですが、正田さんは自分の目指す姿を明確にしてくれた上で毎回宿題を出してくれたので、やる気に火を付けてもらえました」

MojiBa®︎というフレーズも正田さんと一緒に決めたのだといい、「キャッチフレーズを考えてきてください」いう宿題に対して浦上さんが10個以上の案を出し、正田さんがその中から「Moji Base Art®︎ってわかりやすくていいですね、MojiBa®︎って略せますし。Moji (文字)って日本語だけど、今はSushiとかKarateとか文化ごと世界に浸透している日本語もあるし、そんなイメージで世界に出て行けるといいかもしれないですね」と助言。浦上さんも納得し、“文字を使った技法”をMojiBa®︎と名付けて売り出すことに決めました。

自分のセールスポイントについても、いくつか書き出し、「もっと完結にした方が覚えてもらいやすいかもしれないですね」などという客観的なアドバイスを正田さんから受けながらブラッシュアップをしていき、MojiBa®︎ アーティスト浦上愛子としての活動をスタートさせました。

最初は半信半疑だったという浦上さんですが、MojiBa®︎を打ち出してみると、これまでにはなかった反応がSNSなどであり、「私はこれでやっていける!」という確信に変わったのだと言います。

ホームページを作成し活動の幅を広げる

MojiBa®︎ アーティスト浦上愛子さんのホームーページ

活動当初はSNSだけで発信していたのですが、正田さんから「やっぱりホームページは作った方がいい。SNSからホームページに誘導して、浦上さんがどういうアーティストか詳しく知ってもらった方がいいし、BASEやminneへのアクセスにも繋がるから。」というアドバイスを受け、ホームページも作成してみることにしました。

ホームページ作りはお金がかかり億劫だと思っていたそうですが、自分で作る方法を教えてもらい作成。浦上さんはクリエーター気質ということもあり作り出したら思い通りに作れて楽しかったそう。アドバイス通りホームページを作ると、新聞社や注文者からの問い合わせが多く入るようになり仕事の幅が広がったのだと言います。

作品の制作を行う浦上さん

「アーティストとしての経験を積みたいとも思っていたので、国内でのアートフェアや展示会などに応募してみたり、アメリカ・ロサンゼルスでも展示会をさせていただきました。大垣市情報工房の1階で個展をさせてもらったり、正田さんにいろんな企業さんを紹介していただいたりして自分を売りに行ったり、いろいろ活動の幅を広げていきました」

みんなからのメッセージも込めてウクライナ大使館にイルカの絵を届ける

コインランドリー「ALLDAY」での『愛を送ろうプロジェクト』

2021年から2022年初頭にかけては“MojiBa®︎ アーティスト浦上愛子”の認知度を高めることに力を注いでいた浦上さん。2022年春には、岐阜県安八町のコインランドリー「ALLDAY」でウクライナを支援するための『愛を送ろうプロジェクト』と題したイルカの作品を展示も実施。絵の周りに訪れた人からの寄せ書きをもらい、日本のウクライナ大使館に寄贈されることになりました。

地道に活動を続け、2022年10月には、パリで行われたアートフェア「サロン・アート・ショッピング・パリ2022」への出展も果たし、いよいよ世界を視野にいれた挑戦を始めました。

「絵にメッセージ性を込められる」という強みにも気づく

海洋汚染を訴える言葉で描かれたウミガメの作品

個人から依頼を受けてペットの絵を描くことが多い浦上さんですが、その一方で「文字を使った絵だからこそ、文字にメッセージを込めることもできるじゃないか」とMojiBa®︎の持つ新たな強みも発見。今は、絵に環境問題等のメッセージを加えて発信することにも力を入れていらっしゃいます。

そのことに気づかせてくれたのは浦上さんの子どもたちでした。プラスチックを食べたウミガメをテレビやYouTubeで見て、家の外で遊ぶ時に、ゴミを見つけたら拾い始めたそうですが、浦上さんは「汚いから辞めなさい」と止めてしまったのだとか。動物のことが好きでアートを始めたのに、自分が言っていることに矛盾を感じ、「私自身がもっとやれることを考えなくては…」と、環境問題を伝えるメッセージをアートにすることで大人たちの目に触れ、自分の子どもたちがそうであったように行動を変えるきっかけにしたいと立ち上がります。

「プラスチックを減らしてください」「助けて」などのメッセージが描かれたウミガメ

ウミガメやシロクマをモチーフに、SDGsへの想いを、アートにしてわかりやすく描いていく作品も作り始めました。

大垣市に本社を置く3社が共同で始めた、使わなくなったクレヨンを集めて新たなクレヨンとして再生して子供たちに贈ろうという『マーブルクレヨンプロジェクト』からもコラボレーションの声がかかったり、新聞社をはじめメディアからの取材が増えるなど、さらに活動の認知度が高まっていったのだと言います。 「活動の幅を広げていくにあたって、その都度、正田さんに相談していたし、私一人では絶対に出来なかったから本当に正田さんをはじめGaki-Bizさんには感謝しています。」と浦上さん。最初は自身の強みに気づくこともなく、売り出し方が分からなかったものの、Gaki-Bizというビジネスサポートを受けることで、どんどん可能性の幅を広げていきました。

多くの来訪者からのメッセージが添えられることによって完成した『愛を送ろうプロジェクト』の作品

活動ベースは依頼を受けて個人のペットを描いたり、企業とコラボして作品を作ったりということになるが、今後は、浦上さんが描いた絵に子ども達が描きこみをしに来れるイベントなど、一般の人や子どもたちを巻き込んでの活動にも力をいれていく予定。イベントや個展をやることで自分のことを知ってもらえ、制作依頼が来ることも多いのだと言います。

今は様々な活動で忙しく、制作に時間を取れないのが課題。どのように有限な時間を活用してやっていくのか‥。時には落ち込むこともあり、その度にGaki-Bizを訪れ軌道修正しているのだと言います。

Gaki-Bizさんと浦上さんの信頼関係は強く、さらに今後の展開も期待が高まります。

MojiBa®︎アーティスト 浦上愛子さん

ホームページ https://www.aikouragami.com/

SNS https://www.instagram.com/aiko_uragami/