【フジタデンキ】

ガキビズに教えてもらった自分たちの“強み”と“PR”する大切さ

昭和49年(1974年)に安八町で開業したフジタデンキ。Gaki-Biz相談者、池田亜弓さんの父・藤田金明さんが立ち上げたお店で、家族ぐるみで地域密着型の電気屋として店を運営していらっしゃいます。将来的にフジタデンキを継ぐ予定の亜弓さんは、「大手家電量販店が台頭する今、地域密着電気店として生き残る方法を教えてほしい」とガキビズを訪れました。Gaki-Bizとのセッションで、改めて自店の強みを見直し、モノだけでなくサービスも売ること、ホームページの立ち上げやLINE公式アカウントの作成など新たな顧客獲得に向けて動き出しました。今回は、お店で先頭に立ちいつも前向きに奮闘する池田亜弓さんにお話を伺いました。

両親が開業した思い出深い店だからこそ、無くしたくない!

岐阜県安八郡安八町で約50年間続く「フジタデンキ」。

今や、店舗経営の先頭に立ってお店を引っ張っていっている池田亜弓さんですが、Gaki-Bizに相談に来る前までは、大手家電量販店やネット通販のシェアが大きくなってきたことから、店の売上を伸ばすことに苦慮し、自信を失いかけていらっしゃいました。

「私が生まれた時からこの店があって、学校から帰ってくると店を通って家に入って行くのですが、父母がお客さんと楽しそうに話している姿が私の原体験としてあるので、どうにか店を無くさないようにしなければと思ってやっていたんですが、不安も大きくて悶々としていた時期があったんです」

創業当時のフジタデンキ。ラジオやテレビを分解しては組み立てるのが好きだった社長・藤田金明氏が開業。

年齢を重ねる両親にいつまでも頼ってばかりはいられず、“事業継承”という言葉の現実味が増してきた時、大垣西濃信用金庫からの紹介でGaki-Bizの安八町出張相談会に参加することになりました。

お母様と二人でGaki-Bizの相談会へ出向き、センター長・正田嗣文さんのサポートを受けることになった亜弓さん。最初は「本当にこんな小さなお店を続けていくことなんてできるのか?」と半信半疑だったそうですが、正田さんが毎回根気強く勇気づけてくれ、自分たちの店の強みと今後やっていくべきことを明確にしてくれたことで、「私でもやっていけるかもしれない」と自信を取り戻していくことになります。

“お客さんの困り事にはすぐかけつける”ことこそが自分たちの強み

顧客から気軽に電話がかかることが多いフジタデンキ。取材時にも「エアコンの調子が悪いんだけど…」と電話が掛かり対応する姿があった。

フジタデンキが大手量販店やネット通販とは違う大きなポイントは、お客様との密な関わりができる点。「電気が点かなくなった!」「テレビが映らない」などと連絡が入ると、できるだけすぐにかけつけることをモットーとしています。現場にかけつけ、目で確認することによって素早い問題解決に繋げ、お客様に安心感をもたらしています。

それは、顧客との関わりが薄くなった現代の家電量販業界からすると、大きな差別化のポイントになっているのですが、古くから同じ姿勢で商売をしてきたフジタデンキにとっては当たり前のことで、それをアピールしなければならないということに気づいていなかったそうです。

「正田さんから、それはフジタデンキさんの強みになりますよ! ちゃんとアピールしていきましょうよと言われた時は本当にびっくりで、え、本当に?そんなことが?って感じだったんです。でも正田さんは熱く語ってくださるので、話を聞いているうちに、なるほどなと思えてきたんです」と亜弓さん。

修理依頼や納品などで、亜弓さんもお客様の家を訪問することも多い。

例えば、エアコン修理もフジタデンキの対応は早い。まずは同店の修理担当である父や従業員がお客のところへかけつけ、直せる修理であればその場で対応。メーカーへの依頼が必要になった場合も、長年HITACHIの直売店として現場のサービスマンとも関わりを続けている強みを生かし、「お客様のところへ早くいってあげてほしい」と電話を入れ、いち早くメーカーサービスマンが修理にかけつけシステムを構築しているのだといいます。

予期せぬトラブルにすぐに対応してくれる電気屋が身近にいるというのは、地域の顧客の安心感に繋がり、お店を選んでいただける理由の一つになります。

ホームページ作成をGaki-Bizがサポート

亜弓さんが作ったフジタデンキのホームページ。

自分たちの強みについて再認識させてもらった亜弓さん。次にGaki-Bizから勧められたのは、強みの見える化をするためのホームページの作成でした。サポートしたのはGaki-Bizで無料HPなどの操作方法を支援するITアドバイザーの方でした。

自分の言葉で事業に対する思いを書きたいと思っていた亜弓さんは、紹介された無料で簡単にホームページを作ることが出来るJimdoを使ってホームページを作ってみることに。 トップにエアコン工事に訪れたお客様からもらった、昭和64年から平成に切り替わる少しのタイミングで出回った貴重な貴重な5円玉の話をいただいた話を載せ、亜弓さんの事業に対する思いを表現。その次に、お客様に提供できる価値(すぐにかけつける、アフターフォローは必ずする等)を訴求するなど、自社の強みを自分の言葉でわかりやすく伝えました。

“顔が見える電気屋”であることの意味を知る

ホームページには亜弓さんの顔写真もいくつか掲載されている。

亜弓さんが最後まで掲載するか勇気が出なかったのは、“顔写真を載せるかどうか”ということ。Gaki-Bizから「顔出しをした方が親近感が湧いてお願いしやすくなる」というアドバイスを受けたが、顔出しについて最初はとても戸惑ったのだとか。

「私は小さい頃からずっと親に、地元で商売をやるからには常に謙虚であれ。陰の力持ちとして貢献する姿勢を忘れずにでしゃばるな、と言われて続けていたので、顔出しをすることにすごく抵抗感があったんです」

顔出しについては何か月も悩んだそうですが、思い切って出してみたところ「女性がやっている電気屋さんって珍しいし、こういう人が家に来てくれるんだと分かって頼みやすかった」などと良い反響をもらったのだとか。

軽トラに納品物を積みこむ亜弓さん。出先でお客様と話が盛り上がることも多いのだとか。

「私の顔を出すことで安心してくれる人がいるということが発見だったし、そもそも自分はなぜこの仕事が好きかと考えた時に、お客さんのところに行って話すことが好きだということを再認識させられたんです。電気屋ってその人の家まで上がりこんで作業をすることが多い仕事なんですよ。その時にどんな人が来てくれるかってお客様にとっては確かに知りたい情報だよなって思ったので、自分の人柄が伝わる内容で発信しないとなと思っています」

店のPRをすることに自信がついてきた亜弓さんは、Instagramの開設も行い、さらなる情報発信に意欲的になっています。

電話だけではないお客様とのコミュニケーションツール「LINE」を開設

LINE公式アカウントのQRを載せたチラシ。チラシもGaki-Bizから教えてもらったCanvaを使い亜弓さんが手作りしている。

これまでは、修理依頼など全て電話で受けていたフジタデンキ。Gaki-Bizから新サービスの提案とその運用に便利なLINE公式アカウントの開設のアドバイスも受けました。

直接顔を見ながらお客様とやり取りをすることをモットーとしていた亜弓さんでしたが、「ちょっとした困り事なら電話よりもLINEの方が訊きやすいという人も最近は多いんですよ」と言われて、なるほど、と思ったのだと言います。

チラシの下に開設したLINE公式アカウントのQRコードを貼ってみたところ、早速「テレビのリモコンが効かないんだけど」という問合せが入り、お客様のところに出向くことに。修理できない故障だということが分かると、お客様は「じゃあ新しいのを買うから見積りを頂戴。見積りもLINEで送ってくれればいいよ」と言われ、あれよあれよという間にテレビが1台売れたそう。

「LINEだけでやり取りなんて失礼かと思っていたら、今の人はそうではないみたいで、これもすごい発見でした。Gaki-Bizさんに背中を押してもらわなかったら絶対にやっていないことだったので、本当に感謝してもしきれません」と亜弓さん。

今後は、LINEで気軽に困り事を相談してもらうサービスにはGaki-Bizと共に考えた『家電レスキュー FAST』というネーミングを使い、顧客の年齢層や地域を広げていきたいと考えています。

Gaki-Bizは一歩を踏み出す勇気を与えてくれる存在

家電の配線工事など、こだわりを持って丁寧に行うこともフジタデンキの強みの一つ。

「Gaki-Bizに通い出した当初は、全てのことに自信がなく、こんな小さい電気屋には何も打つ手はないんじゃないかと考えていたんですが、正田さんはいつも自信を付けて背中を押してくれるんです。第三者の目線で見ていただくと、きっとまだまだ打開策ってあるのだと思うのですが、最初は私が凝り固まっているからいつも躊躇してしまう。本当に面倒くさい相談者だろうなと思いますが、正田さんはいつもニコニコ話を聞いてくださるからすごいです。」と話す亜弓さんの顔はとても明るい。

以前は安八町とその周辺市町村のみで顧客を持てればいいかと考えていたそうですが、今では西濃でもっと知られた電気屋になりたいのだと思うようになっています。顧客も年配層だけでなく、若年層もターゲットに入れ、“顔の見える電気屋といえばフジタデンキ”とすぐに思い出してもらえるようにお店を成長させたいと考えているそう。

フジタデンキの従業員は今高齢化が進んでいるため、順調に事業を成長させ、将来的には若手社員も雇いたいし、地域の女性のパート先として選んでもらえるようなお店にもしたいのだと言います。

Gaki-Bizへの相談がきっかけで大きく道を開くことができたフジタデンキ。今後のさらなる成長が期待されます。

■有限会社フジタデンキ

ホームページ https://fujita-denki.jimdofree.com/